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契約締結後,売主が倒産したときは?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます                               

 不動産の売買契約が為された後に売主が破産宣告を受けた場合に買主の地位はどうなるのか?

 買主が既に移転登記を受けておれば,買主は破産債権者や破産管財人に対して,その不動産が自己の所有であることを主張できます。しかし、登記が未了であった場合には,買主は破産管財人に対し移転登記手続や引渡をするよう求めることは出来ません。

 でも諦めるのはまだ早いです。買主が売買代金を完済していない場合には買主が当該不動産を取得できる可能性があります。即ち,破産法に「双務契約につき破産者及びその相手方が破産宣告の当時,未だ共にその履行を完了していないときは破産管財人はその選択に従い,契約の解除を為すか又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することが出来る」(破産法59条1項)との規定に基づいて,破産者の債務である売主としての登記・引渡を為して買主へ残代金の請求をすることが選択肢としてあるからです。

 管財人が契約の解除を選択した場合は、買主は支払済みの代金については財団債権として優先的に弁済を受け、契約解除によって損害が出たときはその損害賠償請求権は破産債権となり,破産手続きによって配当を受けることになります。

 つまり、残代金がある場合で,しかも管財人が契約の履行を選択した場合以外は買主は当該不動産を取得できませんが,それでもどうしてもその不動産が欲しい場合には管財人が競売又は任意売却によって当該不動産を換価する際に取得するほかありません。