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契約を解除するには?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます

 不動産の売買契約の解除事由としては,法定解除(民法541条)と約定解除(民法557条1項)の両面が考えられます。前者の場合は相手方を履行遅滞に付し,相当の期間を定めた催告をした後解除します。その場合,催告期間の経過で解除の効力が生じます。その結果,お互いに相手方を原状へ復させるべき義務を負い,(民法545条1項)契約を解除する側は相手方から手付金等を受領していたのであれば,その手付が違約手付の性質をもつときはこれを没収でき,もしそうでないのなら相手方に返還し,他方,相手方は引き渡された土地建物を返還すべきことになり,両者は通常同時履行の関係に立ちます(民法546条)。

 後者である約定解除の場合は,売主は手付の金額の倍額を相手方に償還(手付倍返し)して契約を解除することになります(民法557条1項)。

 なお民法557条1項相手が契約の履行に着手するまで解除できると規定しています。その趣旨は、契約の費用をかけて履行と密接な行為ないし履行に着手した以後まで解除を認めれば,余りにも相手方を害するからということで,相手方保護に主眼が置かれています。従って解除権者が履行に着手していても相手方が契約の履行に着手していない以上,解除権を行使できることになります。

 法定解除と約定解除のどちらを選ぶかは,解除権者にとって有利な方を状況とにらみ合わせながら選択することになると思われます。