土地利用についての行政法規上の制限とは?
個人の財産権について憲法では「財産権はこれを侵してはならない」と規定して財産権を保障する一方,「財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律でこれを定める」とし,更に「私有財産は正当な補償のもとに,これを公共のために用いることが出来る」と規定し,財産権の制限をも同時に定めています。
行政法規上の土地利用制限については,簡単に述べると次のような5種類に分けられています。
T.都市計画関係の制限
都市計画区域では無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため市街化区域と市街化調整区域に分けられますが,一定の場合を除いて市街化調整区域では宅地を造成したり,建物を建てたりすることは許されません。
2.農林地関係の制限
農地法による農地や採草放牧地の権利移動の制限,農地転用の制限,その他森林法による保安施設地区における制限等があります。
3.公物管理関係の制限
道路法による道路の保全,管理などの障害となる私人の利用制限,航空法による航空機の発着の障害となる行為などを制限するため,飛行場の周辺地域における建築物の制限等があります。
4.自然・文化財の保全,保護の関係の制限
自然公園法による国公立公園及び国定公園内における工作物の新築又は増改築の制限、自然環境保全法による地域内の建築物の建築制限,文化財保護法による環境保全や現状変更の制限等があります。
5.災害防止関係の制限
建築基準法や地方公共団体の条例などによる災害危険区域内の建築物の建築制限等があります。
以上,簡単に行政法規の概要を記しましたが,行政法規上の土地利用制限は他にもその種類が多く,内容も多岐に亘ります。不動産の売買契約をするにあたっては買主自らも市町村役場等に赴き,必要な調査をすることが大切と思われます。しかしながら契約を締結しようとする不動産にどのような問題点が孕まれているのかという点を一般の方が事前に把握することは、不動産に関する行政法規が実に多岐に亘るため大変難しいのが実情のようです。ですから不動産の行政法規に精通した宅地建物取引業者に仲介に立ってもらい契約締結を行うのが無難といえると思います。宅建業者が仲介をする場合には,宅建業者は契約に関し,物件に関する利用制限を買主に書面で告知・説明する義務を負っているからです。