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アパート経営にかかる税金とその節税法

コンテンツ「1.不動産所得とその節税法2.土地建物に掛かる消費税3.割増償却の活用4.青色申告制度の利用5.その他の税

            金と節税プラン6.不動産取得税7.固定資産税・都市計画税

1.不動産所得とその節税法

不動産所得は,次の算式で計算します。[総収入金額]−[必要経費]=不動産所得の金額

この不動産所得の金額をもとにして所得税が計算されます。住民税と事業税はこの計算結果に連動して算定されます。

総収入金額

総収入金額は,地代,家賃,権利金,名義書換料などがその主なものですが,借家人から徴収する共益費や貸付建物の破損などにより受ける実費弁償金なども収入とされます。必要経費は、固定資産税、都市計画税、減価償却費、建築費用に充てた借入金の利子,修繕費などのうち,賃貸収入に対応するものです。

不動産所得の金額が赤字のときは,その金額を給与所得,事業所得などの他の所得から控除することができます。これを「損益通算」といいますが,不動産所得の金額が赤字の場合でも,その必要経費のうちにアパートの敷地など土地の取得に要した借入金の利子がある場合などはその損益通算が制限されているので注意を要します。

必要経費

事業税:

アパート経営が事業的規模であれば、個人事業税が課税されます。「事業的規模」とは社会通念上,事業と称するに足る程度のものとされていますが,一応の目安として東京との例で,居住用のみの(非居住用が含まれる場合は条件が厳しくなります)場合は一戸建で10棟以上,アパートで15室以上または延床(貸付)面積600u以上かつ賃貸収入1000万円以上(年間)の規模とされます。しかし,実状に応じて判定されることが多いので,必ずしも上記の基準だけで決まるものでもありません。

アパートの場合は第1種事業ですから,税率は5%が標準です。事業税の計算上控除されるのは,事業主控除が290万円あるほか,繰り越された(事業税の対象となる)損失なども控除されます。

租税公課:

賃貸住宅に係わる,登録免許税、不動産取得税、固定資産税,事業税などです。なお,所得税と住民税は,必要経費に算入することはできません。

借入金利息:

アパート建築資金の借入金は、その計算期間のうち、その年に属する期間に対応する部分の金額を必要経費としますが,アパートなどの使用開始までに対応する借入金利息は、アパートなどの取得価格に含めて減価償却の対象とすることもできます。自宅併用アパートの建築資金の場合は,借入金資金のうちアパート部分に対応する部分だけが必要経費とされます。

人件費:

管理人など従業員に対する給与、福利厚生費などです。生計を覗にする配偶者や親族に対する給与は,専従者としての届出をした上でなければ,その専従者に対する給与を必要経費とすることはできません。

減価償却費:

平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は定額法だけですが、既存の建物及び平成10年3月31日までに取得した建物で定率法を選択している場合はそのまま継続して行うことができます。

専従者給与:

アパート経営が事業的規模で行われている場合,届け出ることにより事業を営むものと生計を一にする親族(15歳未満の者や配偶者控除または扶養控除を受ける人は除く)が,その事業に専従すれば必要経費となります。

[定額法]毎年の償却額が一定となる方法           本年従に業務に使用していた月数 本年分の

[取得価額×90%]×[耐用年数に応ずる定額法の償却率]×―――――――――――――=普通償却費

[定率法]初年度の償却額が最も多く,以後少なくなっていく方法        12          

修繕費:

家屋や壁の塗り替え、床の取替え、畳の表替え、障子、ふすまの張替えなどの費用です。その支出がある程度多額の場合は,固定資産の取得価格に加算して前に述べた減価償却の方法によって少しずつ必要経費に参入することになります。金額が多額であっても,通常の維持管理のため,また災害により破損した固定資産については現状まで回復するために要したと見られる部分の金額は、修繕費扱いとなりますので、支出金額が大きい場合でもそのような時は修繕費として早めに必要経費に算入して節税を図るのが得策です。

火災保険料その他:

建物に関する火災保険料,地代などの支払については,その年の属する期間に対応する部分を必要経費とします。その一方,翌年以後に対応する前払い分は前払い保険料,前払い地代として翌年以降に繰り越すことになります。

自宅併用アパートの場合,火災保険料はアパート対応部分のみが必要経費となり、住宅対応部分は必要経費でなく,確定申告の時の所得控除となりますから,注意を要します。積立部分のある火災保険は積立部分も除きます。

固定資産の損失,貸倒損失:

アパートの取壊し,火災による滅失などで、保険金などで補填される金額を除いた額は,必要経費とみなされます。家賃の取り立て不能額も貸倒損失として必要経費になります。

2.土地建物に掛かる消費税

消費税の課税対象には「資産の貸付」が含まれています。しかし、その中で土地の貸付と住宅家賃が非課税(非課税取引)となっています。非課税取引の多い少ないは、後から出て来る仕入控除の税額の計算に影響があります。

アパートを建築した年の建築費などに含まれる消費税は,かなり多額になりますが,住宅のみの貸付の場合(非課税事業者),この消費税を取り戻す機会はありません。課税事業者に対して免税事業者という制度があります。これは事務所や店舗などの貸付(課税取引)であっても、課税期間(通常は暦年)の課税売上が3000万円以下の事業者は消費税の納税義務を免除されます。この場合も支払消費税を取り戻すことは原則としてできません。

しかし,免税事業者(住宅のみの貸付は除く)が課税事業者になることを選択して所轄の税務署長に届出をした場合は,たとえ3000万円以下の課税売上高であっても消費税額を計算しますから,その年に支出した建築費に含まれる消費税は,通常では課税売上に含まれる消費税よりも大きいですから,その分が還付されることになります。

注意しなければならないのは、この届出は、課税期間の開始する日の前に為されなければならずまた、この届出(課税事業者を選択)をした場合は2年間継続しなければなりませんので2年目は課税売上から控除できる消費税(仕入控除税額)が当然の事ながら少なくなりますので,消費税を支払う立場になります。免税事業者に戻る手続きをするときは時期も気をつけてください。戻ろうとする年度の前年中に所轄の税務署長に届けなければなりません。新・増築の計画があれば,前年中に届出を出した方が有利かどうかを計算してみることが賢明です。この場合注意しなければならないのは,家賃収入のなかに,住宅家賃とテナント家賃の両方がある場合、控除できる消費税額(仕入控除税額)は全体収入のうちに占めるテナント収入の比率でしか控除できないことです。

3.割増償却の活用

減価償却費には、他の必要経費と異なる点があります。それは、支出が既に行われてしまっているにもかかわらず、減価償却費として計算された金額は,必要経費として所得から控除されるということです。そのため、なるべ早く償却してしまう方が節税上,有利であることは間違いありません。

しかし、税法上は資産の種類に応じた耐用年数が法定されており、普通の減価償却は償却方法を決めてしまうと後は自動的に計算されることになってしまいます。しかし次のように特別の場合は減価償却費の計算を割増して行うことができます。

●優良賃貸住宅の割増償却

地方公共団体の補助を受けて新築した特定優良賃貸住宅および三大都市圏において建築される中高層賃貸住宅については,不動産所得の計算上青色申告者であるかどうかを問わず、貸家の用に供した日から5年間にわたり,減価償却費を割り増して必要経費にできます。

4.青色申告制度の利用

不動産所得・事業所得・山林所得を生ずる業務を行う人は,届出によって青色申告の制度を利用することができます。青色申告では正規の簿記の原則によって記帳しなければならないという義務を生じますが,半面いくつかの節税法を利用することもできます。基本的には収支をきちんと記帳していればよいのです。

特に平成5年分以降の確定申告からは「青色申告特別控除制度」が創設されましたので、この制度を積極的に利用することを考えてはいかがですか。これに伴い,従来の「青色申告控除制度」と「みなし法人課税制度」は平成5年分の確定申告から廃止されました。

●青色申告特別控除制度

資産、負債および資本に影響を及ぼす一切の取引を、正規の簿記の原則に従い記録し,貸借対照表及び損益計算書を作成し,青色申告書にこれらを添付する個人事業者については,55万円の特別控除が適用されるというのが制度の骨子です。この制度を適用しない青色申告については,特別控除額は10万円または45万円とされます。

●55万円控除の適用を受けようとする人の要件

 ・事業所得者または事業的規模で行っている不動産所得者であること

 ・正規の簿記の原則にしたがって,すべての取引を帳簿などに記帳していること

 ・確定申告書に貸借対照表を添付して,同控除の適用を受ける旨記載していること

 ・提出期限までに提出すること

簡易帳簿(現金出納帳、収入台帳、経費帳、固定資産税台帳程度のもの)により日常の記帳をしている人は、決算のときに貸借対照表を作成,添付することで45万円の特別控除の適用を受けることができます。ただし,この簡易方式は,平成5年分から平成14年分までの経過措置であることに注意して下さい。

5.その他の税金と節税プラン

●印紙税

アパートを建築する場合は工事請負契約書を取り交わしますが,契約書には必ず印紙を貼って,消印します。これが印紙税の納付です。

工事請負契約書は2通作成し,注文者と受注者がそれぞれ保管することになりますが,この2通の契約書にそれぞれ印紙を貼らなければなりません。もし,どちらか一方の契約書に印紙を貼らなかったときは,注文者と受注者が連帯して納付する義務を負うことになります。

●登録免許税

土地や住宅を取得すると,自分の権利を明らかにするため所有権の保存登記や移転登記をすることになります。

(1)固定資産税評価額の引き上げに伴い,平成11年4月1日以後に取得する土地の登記については,以下のような軽減措置が設けられました。

土地の固定資産税評価額×3分の1×税率   (抵当権設定登記は除く)

(2)家屋 

一定の住宅等については次のような軽減措置があります。

「新築住宅の場合」 ・自分が居住するための家屋であること

             ・家屋の床面積(登記面積)が50u以上であること

             ・家屋の新築後(取得後)1年以内の登記であること

●所有権の保存登記    1000分の6が1000分の1.5に

●所有権の移転登記    1000分の50が1000分の3に

●抵当権の設定登記    1000分の4が1000分の1 に

なお、家屋及び家屋借入金額のみ適用され、土地については適用がありません。

(平成9年4月1日〜平成13年3月31日)

6.不動産取得税

不動産の所有権を取得したときに,その不動産が所在する都道府県によって課せられる税金が不動産取得税です。固定資産評価額に税率(標準課税は4%)を乗じて税額が計算されます。

不動産取得税に対する特例には,次のものがあります。

(1)土地

課税標準(税額を算出する基準額)は固定資産税評価額を用いていましたが,平成6年度の評価替えによって一挙に3倍程度上昇してしまうため,税負担増に対する緩和措置がとられました。

宅地の取得が平成14年12月31日までに行われた場合の課税標準は固定資産税評価額の2分の1となります。  土地の固定資産税評価額×2分の1×税率

7.固定資産税・都市計画税

 土地、家屋、償却資産などの固定資産の所有者に課税されます(課税期日は毎年1月1日現在です)。固定資産課税台帳に登録された金額に税率(標準税率は1.4%)を乗じて税額が算定されます。固定資産税の特例には次のようなものがあります。

●家屋についての特例

・新築住宅にかかる固定資産税の減額

新築された一定の要件(下記)を備える住宅については,120uまでの部分に対応する税額の2分の1相当分が,新たに固定資産税が課される年度から3年度分(3階以上の耐火構造などでは5年度分)にわたって減額されます。

一定の要件の住宅

イ・家屋の床面積の2分の1以上が居住用であること

ロ・1室あたりの床面積が35u以上280u以下(1戸建は40u以上280u以下) 

特定市街化区域のうちの所有者などが当該土地に住宅を新築し、かつ、現に貸家の用に供している場合の税額軽減

イ・第1種中高層耐火建築物(地上階数4階以上) 

一戸当たり100uまでの部分の税額について最初の5年度分4分の3,その後の5年度分3分の2が減額されます。 

ロ・第2種中高層耐火建築物(地上階数3階)

 一戸当たり100uまでの部分の税額について5年度分3分の2が減額されます。

ハ・貸家住宅(中高層耐火建築物でなくてもよい)の敷地

貸家住宅が平成13年12月31日までに新築された場合は3年度分3分の2が減額されます。

●土地についての特例

・住宅用地に対する課税標準の特例

特例が受けられるのは,その用地に建てた家屋の床面積の10倍までの土地面積を限度とします。

1戸につき200u以下の部分の土地(小規模住宅用地)の課税標準は,固定資産税評価額の6分の1に軽減されます。1戸につき200u超の部分の土地は,3分の1に軽減されます。

●都市計画税とは

都市計画事業又は土地区画整理事業を行う市町村において,その事業に要する費用に充てるために、都市計画区域のうち原則として市街化区域内に所在する土地および家屋に対して都市計画税が課せられます。都市計画税の納税義務者は、都市計画区域のうち市外化区域内に所在する土地および家屋の所有者です。

都市計画税の課税標準は,当該土地または家屋に係わる固定資産税の課税標準となるべき価格です。

都市計画税の税率は、100分の0.3を限度とし,市町村の条例で定められています。固定資産税が免税点未満となっている土地及び家屋については都市計画税を課することはできません。納期は,通常固定資産税と合わせて設定されます。