熊本県菊池郡菊陽町の大田宅建事務所:ホームへ

建物の解体費は敷金で賄われる?

 定期・事業用借地権契約の期間満了時の原状回復は、借地人の義務ですので、その費用は、当然借地人が負担することになります。なお、借地人は原状回復を履行しないと敷金の返還請求が出来ませんが、敷金を放棄したからといって、原状回復義務を免れるものではありません。

 原状回復とは、賃貸借契約が締結されたときと同じ最初の状態に戻すと解されており、建物を取り壊して更地にするということは、単に建物を取り壊しただけでは足りず、建物が建てられる前の状態に戻さなければならないことになります。ですから、高層の強固なビルの場合などは、地下に数10メートルの長いコンクリート杭が埋設されていたときなどは、原状回復の範囲や具体的内容などを最初の賃貸借契約書の締結時点できちんと取り決めておくことが望まれます。

 敷金の問題ですが、敷金の返還請求権を放棄した場合に、建物収去義務を免れるかですが、敷金の性質として建物収去費用の担保としての意味を持つといわれますが、建物の収去義務と敷金の返還請求権とは、建物の収去が「先履行」の関係にあり、まず借地人が建物を収去して土地を返還して初めて敷金を受け取れることになります。義務を果たしたら受け取れるべきものを予め放棄するからといって自分の義務を免れることにはなりません。