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不動産売買契約不成立でも報酬請求は可能?

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 宅建業者と依頼者との間で締結される宅地建物の売買等の媒介を委託する契約(仲介委託契約)は、契約類型としては、民事仲立であり、その法的性質は準委任契約と解されています。したがってその法律関係は、民法643条以下の委任の規定により律せられることになりますが、仲介委託契約は、準委任とは異なる独自の特質も併せ持っています。

 仲介の事務処理費用といってもそれは広告費、人件費などいろいろあり一律ではありません。そして宅建業者の仲介に要した費用は原則として依頼者に請求することはできません。費用というのはいろいろありますし、報酬が請求できないから経費に名を借りて多額の請求を依頼者にする危険があります。又、商人というのは、ある程度経費を負担して客と取引をするというのが常識です。そういう観点から、宅建業者の仲介業務に伴う通常の広告費用などは、仲介人が受領すべき報酬に含まれていますから、取引契約が成立せず報酬を請求し得ない以上、費用も原則として請求できません。

 ただし、依頼者の依頼によって行う広告等の料金について、判例はそれが報酬の範囲内で賄うことのできない多額にわたるときは、特別の広告料金を意味するものとして依頼者に請求することができるものとしています。