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遺言の内容には,認知,相続人の廃除・その取消しや遺贈・寄附行為などのように,これを実現するために一定の行為を必要とするものがあります。

これを行う職務権限をもつ者として,遺言で指定され又は遺言で指定を委託された者から指定され,あるいは利害関係人の申立てによって家庭裁判所から選任された者を「遺言執行者」といいます。

公証役場で公正証書遺言を作成してもらうと、「特定の不動産を特定の相続人」に「相続させる」旨の文言の遺言書を作成してくれます。これは、遺言執行者の選任を要せず、相続人が単独で相続登記ができるようにするためでもあります。

遺言書を作成する場合は専門家に相談して、死後のトラブルの発生をできるだけ避けるように細心の注意を払うべきです。

第1006条〔遺言執行者の指定〕

遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。

 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

第1012条〔遺言執行者の職務権限〕

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

 第六百四十四条乃至第六百四十七条〔受任者の義務と責任〕及び第六百五十条〔受任者の費用償還請求権等〕の規定は、遺言執行者にこれを準用する。

平成7年1月24日 最高裁第三小法廷 判決

原審の適法に確定したところによれば、本件遺言は、本件各不動産を相続人である上告人に「相続させる旨の遺言」であり、本件遺言により、上告人は被相続人の死亡の時に相続により本件各不動産の所有権を取得したものというべきである。

そして、「特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言」により、相続人が被相続人の死亡とともに相続により当該不動産の所有権を取得した場合には、相続人が単独でその旨の所有権移転登記手続をすることができ、遺言執行者は、遺言の執行として右の登記手続をする義務を負うものではない。これと同旨の見解を前提として上告人の請求を排斥した原審の判断は正当として是認することができ、その過程にも所論の違法は認められない。

 

弁護士中山知行