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 住宅会社の営業マンの方に不動産を捜してもらっています。気に入った物件が出てきたので真剣に検討したいと思っています。仲介の不動産業者の方からそれでは売主との交渉を進めるので「買付証明書」を書いてくださいと云われました。簡単に書いて何の問題もないでしょうか?

大田宅建事務所回答

 一般的に売主が不動産業者に自己所有の不動産の仲介を依頼する場合,売主と不動産業者との間で媒介契約書を作成しますが,それと同時にあるいは売買交渉過程において「売渡承諾書」が交付されることがあります。

 これは通常売主の売却意思を明確にして仲介業者が売買交渉を円滑に進行させるために発行されるものであり、交渉の結果,売買金額・契約締結の時期・売買契約に必要な条件が一応合意に至った場合,買主側から「買付証明書」が交付されます。

 それではこれらの書面の交付により,売買の本契約(民法555条)ないし予約契約(民法556条)が成立しているとみることが出来るか否かについては,前述のように「売渡承諾書」「買付証明書」というのは一般的に売主の売却意思あるいは買主の購入意思を明確にして,仲介業者が将来締結される売買契約を円滑かつ確実なものにするために発行されるものであるからであり,それ以上の法的意味を与えることは当事者の意思に反するということで,判例の多くも売買契約ないし売買予約契約の成立を否定しいます。  本ホームページ売買50問NO.12より

ということですから、もしあなたが相手方に提出した買付証明書に書かれた買付金額でもって契約を締結しなかったとしても損害賠償などをうたれる心配は有りません。ただ、法律的にそうだとしても住宅会社の営業マン、不動産業者、売主に対するあなたの信用はかなり低くなり、余り相手にされなくなるかもしれません。上記の3者もそれぞれ信用を失ったり、目に見えない損害が生じている可能性があるからです。ですから、「買付証明書」をあなたが書くということはあなた自身、それなりの腹をくくって書く必要があるものと思います。なぜなら買付証明書を受け取った方はあなたの購入意思の固さを曖昧な口頭ではなく、文書というきちんとしたもので提起したものと考えるからです。

これも売買対象物がスーパー等で売られているような一般の代替可能な商品でなく、不動産という高額で特殊なものであるがゆえの取引に慎重さを要求されるものだからでしょう。