熊本県菊池郡菊陽町の大田宅建事務所:ホームへ

事業用借地権でもって自己所有の土地を貸したいと思っています。しかし、最近の景気の不透明感で大手の会社といっても潰れる時代だし、経営者が行方不明になったりと不安は拭えません。どのような点に注意したらよいでしょうか?

大田宅建事務所の回答

本当にいつになったら景気は回復するのでしょうかね。頭の痛いところです。土地を所有していても今は、そう簡単には売れないし、かといって遊ばせているのも本当にもったいない話ですから、有効活用をなさるという点には賛成です。私も自分のホームページに「土地の有効活用事例」という欄を設けて、地元の地権者の方たちから依頼を受けていくつかの活用事例実績もありますので併せてご覧下さい。

 ところで、事業用借地権を利用した土地の貸方での注意点としては、凡そ以下の点に注意していけばいいものと思います。それは登記権利者(土地の貸主)が登記義務者(土地の借主)の行方がわからないことにより,共同で借地権の登記の抹消を申請することが出来ないときは民事訴訟法の規定にしたがって公示催告の申し立てをすることが出来ます。

そして裁判所からの除権判決がなされたときは申請書にその謄本を添付して登記権利者だけで登記の抹消を申請することが出来ます。 不動産登記法142条参照

契約期間満了後又は解約による事業用借地権登記の抹消は登記権利者(貸主)と登記義務者(借主)による共同申請によりますが,借主の事業破産等による行方不明のときは共同申請による抹消登記が不可能なため,除権判決を得て貸主より単独にて抹消登記を行うことができます。また建物の滅失登記も同様な方法にて行うことができます。

次に、契約期間中に土地の借主の事業が不振に陥ったりして借り続けることができないなどの事情が生じたときなどに、借主のほうから借地権の第三者などへの譲渡や転貸などの提案があったとき、つまり貸主から土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可を借主に対して承諾したときは、借主は契約期間の残存期間の責任を免れることができることになります。 借地借家法第19条参照  

それは、借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において,その第三者が賃借権を取得し,又は転借をしても借地権設定者に不利となる恐れがないにもかかわらず,借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは,裁判所は借地権者の申し立てにより,借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることが出来ることになっています。この場合において,当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは,賃借権の譲渡もしくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ,又はその許可を財産上の給付に係わらしめることが出来ることになっています。

 解かり易く云うと、借主側からの観点に立てば契約20年の事業用借地権の10年が過ぎて残りの10年を責任を以って借り続けられない時には、事業用借地権を地主の了解を取り付けて第三者に譲渡・売却してしまうことです。そのときの価格としては建物の残存価格でいいと思います。土地の借主は土地を借りているだけであって、その土地の上に建っている建物は借主名義のものです。ですから土地の借主は自分名義の建物を第三者に売却してしまえばいいのです。事業用借地権の譲渡を受けた買主は新たな土地の借主として土地の貸主に対して残存契約期間中、地代を支払って事業を続けていくことができますし、前の借主は建物建設に投資した金額の回収ができて被害がより小さくて済むものと考えられます。そして地主さんであるあなたも残りの契約期間、地代が継続してはいってくることになるわけです。

詳しいことについては、私のホームページの「不動産相談室」の「事業用借地権についての留意事項」を見られるとより参考になるものと思います。