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件名 : 突然ですが、お聞きしたい事がありメールを出させて頂きます。

ある日建物の登記簿を取りに行ったら、処分禁止の仮処分と記載されていました。

競売で落札したのですが、一部に他人名義の建物があり、その建物は3ヶ月程前に売買契約をした上で、他人名義から自分名義に所有権を移転したものです。

今のところ、裁判所からは何も通知がないのですが、これから先どうなるのかわからずに、とても不安です。

このホームページの中で処分禁止の仮処分について書かれていたので、これから先の進行状況など、裁判所への今後の対応や、すぐにでも手をうたなければいけないことなど、何かアドバイスを頂ければと思いメールをさせて頂きました。

私の建物は一体これから先、どうなってしまうのでしょうか?

何かアドバイスを頂けますでしょうか、どうぞ宜しくおねがいします。

回答:

落札された土地建物の中に一部他人名義の建物があったということですが、その他人名義の建物もちゃんと3ケ月前に売買契約をして自分名義に所有権移転をした筈なのに、その建物に「処分禁止の仮処分」の登記がなされているということは、あなたに建物の所有権移転登記がなされる前に、他人名義の建物に債権を持っていた第三者である債権者が急いで「処分禁止の仮処分」の申立を裁判所に行い、それが裁判所に認められ「処分禁止の仮処分」の登記があなたの建物移転登記よりも早く為されたものだと思います。

債権者は「処分禁止の仮処分」の登記をなしたことにより、その登記より遅れて為されたあなたの所有権移転登記を単独で抹消することができることになります。

今後のことですが、もし仮処分の債権者と話し合うことができるならば話し合いを持って問題の建物を債権者がどれだけ必要としているのか等を確かめられてはいかがですか。それにより対処の方法が具体化してくるものと思います。

参照条文(民事保全法.53.58条)

(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)

第53条  不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。

 2   不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。

 3   第47条第2項及び第3項並びに民事執行法第48条第2項、第53条及び第54条の規定は、前2項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。

(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)

第58条  第53条第1項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない

 2   前項の場合においては、第53条第1項の仮処分の債権者(同条第2項の仮処分の債権者を除く。)、同条第1項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる

 3   第53条第2項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするには、保全仮登記に基づく本登記をする方法による。

 4   第53条第2項の仮処分の債権者は、前項の規定により登記をする場合において、その仮処分により保全すべき登記請求権に係る権利が不動産の使用又は収益をするものであるときは、不動産の使用若しくは収益をする権利(所有権を除く。)又はその権利を目的とする権利の取得に関する登記で、同条第1項の処分禁止の登記に後れるものを抹消することができる。