熊本県菊池郡菊陽町の大田宅建事務所:ホームへ

質問コーナーを見ての質問なんですが。

はじめまして。私は長崎県に住んでいるものですが、お忙しい時に申し訳ございません。ちょっとお聞きした  い事がありまして。

内容としては、民法や借地借家法の事なんですが、土地の契約をしていて支払っていない賃料は遡って請求できると聞きました。

知人から請求権があるから支払権もあり土地を賃貸して2年間を経過するとその時の賃料は消滅してしまうと聞いたんですが、本当なんでしょうか?

もし、それが本当であれば今から計算して2年前の分までしか請求できない事になるんですよね。民法等の本を見ているのですが、なかなか難しく理解に困ってしまいます。

もし、良かったら返事ください。よろしくお願いいたします。

回答

あなたには土地の借主に対して地代請求権という債権があります。債権の消滅時効は原則として10年です(民法167条参照)。土地を賃貸して2年間を経過するとその時の賃料は消滅してしまうと聞かれたそうですが、それは種々の債権につき短期で消滅する時効のことを云っておられるだと思います。

短期の消滅時効にかかる債権は民法169条以下を参照して下さい。

地代を毎月支払うという契約が為されているのであれば169条に該当しますから5年間の時効になります。

ただ時効にかかっているからといって悲観する必要はありません。あなたが相手方に請求して相手方が支払ってしまえば受領できます。時効の援用といって時効によって利益を得る者、つまり地代を支払っていなかった相手方が時効を主張しなかった場合にまで法が時効をあなたに認めさせることはありません(民法145条参照)。

ですから2年前の分まで全部請求されてはいかがですか。きっとまとまった金額になるはずですよ。

第167条  債権ハ10年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

第169条  年又ハ之ヨリ短キ時期ヲ以テ定メタル金銭其他ノ物ノ給付ヲ目的トスル債権ハ5年間之ヲ行ハサル 

       ニ因リテ消滅ス 

第170条  左ニ掲ケタル債権ハ3年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

       医師、産婆及ヒ薬剤師ノ治術、勤労及ヒ調剤ニ関スル債権

       技師、棟梁及ヒ請負人ノ工事ニ関スル債権

       但此時効ハ其負担シタル工事終了ノ時ヨリ之ヲ起算ス

第171条  弁護士ハ事件終了ノ時ヨリ公証人ハ其職務執行ノ時ヨリ3年ヲ経過シタル

       トキハ其職務ニ関シテ受取リタル書類ニ付キ其責ヲ免ル

第172条  弁護士及ビ公証人ノ職務ニ関スル債権ハ其原因タル事件終了ノ時ヨリ2年

       間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

       但其事件中ノ各事項終了ノ時ヨリ5年ヲ経過シタルトキハ右ノ期間内ト雖モ其事項ニ関スル債権ハ 

       消滅ス

第173条  左ニ掲ケタル債権ハ2年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

       生産者、卸売商人及ヒ小売商人カ売却シタル産物及ヒ商品ノ代価

       居職人及ヒ製造人ノ仕事ニ関スル債権

       生徒及ヒ習業者ノ教育、衣食及ヒ止宿ノ代料ニ関スル校主、塾主、教師及ヒ師匠ノ債権

第174条  左ニ掲ケタル債権ハ1年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

       月又ハ之ヨリ短キ時期ヲ以テ定メタル雇人ノ給料

       労力者及ヒ芸人ノ賃金並ニ其供給シタル物ノ代価

       運送賃

       旅店、料理店、貸席及ヒ娯遊場ノ宿泊料、飲食料、席料、木戸銭、消費物代価並ニ立替金

       動産ノ損料

       

第145条  時効ハ当事者カ之ヲ援用スルニ非サレハ裁判所之ニ依リテ裁判ヲ為スコトヲ得ス