熊本県菊池郡菊陽町の大田宅建事務所:ホームへ

貸家を数軒所有している者ですが、その中の一軒の借家人が先日、突然夜逃げをしてしまいました。家賃の滞納は1ケ月ほどしかなかったので預かった敷金で充当しようと思っています。これはいいとしてひとつ困ったことがあります。家財道具の大半を家の中に放置したまま夜逃げをしてしまったものですから、家主としてかってに処分してしまっていいものかと思案に暮れています。こういうときはどのようにすればいいでしょうか?

回答

「夜逃げや本舗」なるテレビドラマもありましたね。不景気になるとこういう商売が繁盛してくるのもちょつと悲しい気分です。ところで借家人が残していった放置されたままの家財道具の処分のことですが、法律では「自力救済」を禁止していますから家主であるあなたが迷惑を被っているからとの理由で放置された家財道具を家の中から運び出して処分するなどのことはできません。もしかってに処分でもしてあとで不法行為による損害賠償の請求を受けることにもなりかねませんので、慎重に事を運ばれるようにして下さい。

こう云うケースでは、夜逃げした借家人の行き先などが全くわからないのであれば、最初は連帯保証人に事情を話して一定期間が経過しても、家財道具を取りに来る気配が全く見られないようであれば保証人に何とかしてもらうのもひとつの方法でしょう。しかし保証人といっても放置された家財道具の処分権限があるわけではありませんから、かつてに処分することも簡単にはいかないと思います。所有権はあくまで夜逃げした借家人にあるわけですから。

最後の方法として法の力を借りられることをお勧めします。相手が行方不明であれば公示催告手続といって行方不明の借家人に対して「公告」の方法で権利などの届出の催告を為し、定められた期間内に届出がない場合は除権判決がなされます。公示催告期間は少なくとも2ケ月です。

この除権判決(放置した家財道具の借家人の所有権にたいしての)が得られれば、家主であるあなたがじゃまな家財道具を業者に頼んで運び出しても自力救済に当たりませんから、後日損害賠償の請求をされることもありません。