◆相続税の取得費加算の特例
(文章的に悪文以外のなにものでもない税法)
原文のまま
相続又は遺贈
(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この項において同じ。)による財産の取得(相続税法又は第70条の5〔農地等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例〕の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含む。)
をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額(同法第19条〔相続開始前三年以内に贈与が合った場合の相続税額〕の規定の適用がある場合には、政令で定めるところにより同条に規定する贈与税の額を調整して計算した金額とし、同法第20条第1項〔相次相続控除〕の規定により控除される金額がある場合には、当該金額を加算した金額とする。)があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項〔相続税の申告書〕又は第29条第1項〔相続財産法人に係る財産を与えられた者に係る相続税の申告書〕
の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第3条の2〔遺贈により取得した者とみなす場合〕に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第31条第2項〔修正申告の特則〕の規定による申告書)の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第19条の規定の適用がある場合には、同条の規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産(当該相続又は遺贈による移転につき所得税法第59条第1項〔贈与等の場合の譲渡所得等の特例〕の規定の特例があったものを除く。)を譲渡した場合における譲渡所得に係る同法第33条第3項〔譲渡所得〕の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち政令で定める金額を加算した金額とする。(
上記は租税特別措置法39条の原文をたいへん読みやすいようにして転記したものです。原文そのままだと読めたものではありません。
文章を分解して、
文字に色づけして、どうにか読める状態になりました。これが一つの文章なのです。)実にわかりにくい条文です。
まるでパズルを解くかの如く読み進まねばなりません。
普通の人間ならば理解できないような文章です。
よっぽと暇でないとできないかも。それとも変わり者?
私自身は、概して税法は、悪文がいっぱい集まって構成されているのだと日頃から考えておりますので、最近あまり腹が立つということもなくなりました。
この文章を見られた方は、悪文だから仕方ないとあきらめて、腹を立てずに読み進めていってください。
これは私が悪いわけではありません。税法の条文が悪いのです。
これを良い文章とは誰も言わないと考えます。
この文章を抜粋しますと次のようになります。
相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から当該相続に係る申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合における譲渡所得に係る取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち政令で定める金額を加算した金額とする。
ということになります。
これでも理解しにくいので、要約しますと、
相続をした人で、そのうち相続税を支払った人が、相続税の申告期限後3年以内に土地等つまり土地又は土地の上に存する権利(借地権や地上権ほか)を売った場合、相続時土地等について課された相続税を含めて取得費に加算することができるということです。
つまり、譲渡所得の計算上、売却した土地だけでなく売却しなかった土地に課税された相続税額分も売却土地の取得費に加算できるということです。
つまり、取得費に加算できるということは、計算上、譲渡益が少なくなり従って、譲渡所得税が少なくなるということです。
但し、例外がありまして、土地等は相続開始時において棚卸資産その他これに準ずる資産に該当する物を除きます。
また限定承認に係るものには、特例の適用はありません。
この規定は、相続税の納付のためなどに、相続後すぐに相続財産の処分が行われた場合、相続税と譲渡所得税の二重課税が懸念されるためその調整をしようとするものです。
しかし、売却理由が必ずしも相続税の納付のためだけに限りません。
一定の要件を満たしていれば、特例を適用することができますので、近い将来、土地を売却する予定のある方は又は売却するかも知れない人は、そのように遺産分割協議することも考えなければならいと思います。
これは、納税者にとっては良い話です。
しかし、税法はたいへん難解にできています。
いや、国民には理解しにくいように作っているのかも?
暇があったら研究してみてください。
不動産に関するチョツトためになる話より