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Q−土地区画整理事業による清算金について教えて下さい

 不動産の売却の相談ではなく恐縮ですが、私は菊陽町が今行っている土地区画整理事業の始まる前に菊陽町に土地と建物を購入致しました。購入した不動産が区画整理区域内に入り、敷地の減歩が生じるのではないかと心配していましたが幸い減歩も発生しませんでした。しかし、近所の人の話では近い将来、換地処分後に清算金なるものを徴収されるということを聞きました。役場で調べたもののはっきりとした金額は算出できないそうで、もし多額の清算金を徴収されるのではと不安な日々を過ごしています。購入した当時の価格がはたして、減歩や清算金まで見こんだ金額であったのかどうかも、もう十何年前の事ですので定かでは有りません。

大田宅建事務所からの回答:

 まづ清算金の説明をする前に区画整理事業がどういうものかを理解する必要があります。

区画整理事業とは簡単に言って土地の区画形質を整え、道路、公園等公共施設の整備改善を行う事業です。

公共施設の用地は「減歩」によって生み出され、一般の土地は整形された「換地」に置きかえられて、原則としてどの土地も道路に面するように配置されます。

 また土地区画整理事業は、個人や法人の所有する個々の土地を従前の条件を考慮しながら、より利用しやすくなるように再配置を行います。事業施行前の土地に対し、事業により再配置された土地を「換地」といいます。

菊陽町に古くから住んでいる方ならば、今の役場周辺の土地区画整理地がいかに以前の土地の状況から一変したかが説明するまでもなくわかるはずです。以前は道路の通っていなかったたくさんの土地に今では見違えるような立派な道路が整然と通っているからです。

 その際、減歩といって土地区画整理事業に必要な土地を地区内の地権者から少しずつ出していただき、従前の土地はそれぞれ面積が減少した土地に置き換えられます。

この事業により個々の土地の面積が減少することを「減歩」といいます。

道路や公園等公共施設の用地を確保するための「公共減歩」と、事業費の一部に充てるために売却する土地を確保するための「保留地減歩」があります。

しかしながら、換地設計の際にすべての換地を過不足なく配置することは技術的に困難であり、換地相互間にはある程度の不均衡が生じます。

この不均衡を是正するために徴収、交付する金銭のことを「清算金」といいます。

整理前の土地と整理後の土地をそれぞれ評価し、整理前の権利価格が整理後の評定価格よりより多いときは清算金が地権者へ交付され、逆の場合は地権者より徴収します。

このことを具体的にいうと、あなたのように区画整理事業により土地の減歩がまったくなく、以前の整理前の土地価格が区画整理後の土地価格に比べて少ない場合(区画整理事業は通常土地価格をアップさせます)に清算金が徴収されることになります。一般に農家の方のように更地で以前の土地を持っていた人達は区画整理により平均3割前後の土地を無償で提供する(換地後は以前の土地に比べて3割ほど面積が減少することを意味します)ことからも、そのような不均衡を是正するためにも清算金の意味があります。

 では、いつ清算金が徴収または交付されるかというと清算金は換地処分の公告の日の翌日に確定するので、その後に徴収、交付が開始されます。ご質問にも有りますように換地処分の具体的日時がなかなか決定しない今の状況では、具体的な金額も定まらないのが現状です。この場合、清算金は利子を付して分割徴収または分割交付することができます。一般に分割期間は5年以内ですが、特に困難な場合は10年以内とすることができます。

私も、過去区画整理事業地内の減歩が発生していない家付きの土地を何度か売却を頼まれた事がありましたが、清算金のことが売主・買主双方間で大きなネックになりなかなか取引に至りませんでしたし、私もこの取引にはあまり気が乗りませんでした。区画整理の特徴をキチンと把握していなかったために売主・買主・取引業者間で大きなトラブルが発生していた取引が発生していたことを承知していたからです。