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無料相談のホームページを拝見してお尋ねしたいです、結論から申しますと、義父より調停申し立てされました、内容は10年以上前に妻の両親と同居のはなしがあり、その土地は義父が3600万円で購入し家は6700万円の内3000万円は義父が払い残りは私が払いましたが、完成後義父は私とは同居はせずに土地(118坪)の使用賃料を求めてきました。私は当時の話と違うので応じられません、突っぱねる事が出来ますか教えてください、よろしくお願い致します。

回答

義父名義の土地の上に貴方と義父がお金を出し合って建てた共有の建物に貴方が住み、義父は同居しなかったというケースでは理論的には借地上の建物を共有(貴方と義父)で所有しているという形になりますから、きちんとした土地賃貸借契約があれば貴方は義父に地代という賃料を支払わなければならないことになります。

 しかし前回述べましたように口頭なり書面での土地賃貸借契約が為されていなかったのであれば、これまでは貴方と義父の間の土地使用については使用貸借と考えられますから、これまでの地代については支払う義務も生じないことになります。

 住宅金融公庫に提出された地主の土地使用承諾書は契約書の体をなしているものでなく、恐らく「念書」みたいなものでしょうからその書類の中には契約の始期と終期が記載されていない可能性が高いと判断して、下記の民法条文第597条3項にいう

「当事者カ返還ノ時期又ハ使用及ヒ収益ノ目的ヲ定メサリシトキハ貸主ハ何時ニテモ返還ヲ請求スルコトヲ得」を参考にして契約解除ができる旨申し上げた次第です。公庫に提出した地主の土地使用承諾書に契約条項があり、契約期間や使用目的等がきちんと書かれているならは゛、この597条3項は適用されず、1項が適用されて契約期間の満了時まで借り続けることができますし、また返還の時期について契約に定めていなかった場合でも「契約ニ定メタル目的ニ従ヒ使用及ヒ収益ヲ終ハリタル時ニ於テ返還ヲ為スコトヲ要ス」となり借り続けることができるものと思います。

 ただ公庫の地主の土地使用承諾書は契約書ほど詳しく記載されたものではないでしょうから、そこらあたりをどう判断するかがポイントになるのではないでしょうか。通常、公庫も親族間の土地の貸借トラブルまで予想していないために念書程度の書類提出で申請を受け付けているものと思われますが、公庫の地主の土地使用承諾書を契約書に準じたものとしてみなすかどうかの判例等に精通した弁護士さんあたりにまづ相談された上で、それから調停の場に持ち込まれてはいかがですか。

 

第597条  借主ハ契約ニ定メタル時期ニ於テ借用物ノ返還ヲ為スコトヲ要ス

 2   当事者カ返還ノ時期ヲ定メサリシトキハ借主ハ契約ニ定メタル目的ニ従ヒ使用及ヒ収益ヲ終ハリタル時ニ於テ返還ヲ為スコトヲ要ス

但其以前ト雖モ使用及ヒ収益ヲ為スニ足ルヘキ期間ヲ経過シタルトキハ貸主ハ直チニ返還ヲ請求スルコトヲ得

 3   当事者カ返還ノ時期又ハ使用及ヒ収益ノ目的ヲ定メサリシトキハ貸主ハ何時ニテモ返還ヲ請求スルコトヲ得

 今後の方向としては義父との間で建物所有を目的とする土地の賃貸借契約を締結されることによって、貴方には借地権(賃借権または地上権)という権利を義父に対して持つことになり、賃料(家賃ではなく地代)等の滞納がない限りは共有名義上の建物に住みつづけることができることになります。そうなれば義父の方は今後も貴方と同居を望まない限りは、自分が出した建物代金分(3000万円)についての回収を図るということも考えられますから、そこらあたりも考慮に入れて新たな土地賃貸借契約での地代額に反映されることになるものと思います。その辺については義父との間で話し合いがつかないのであれば、やはり調停の場で解決してもらうしかないものと思います。

 裁判所も極力訴訟まで発展する事を望まないでしょうから、調停の場で和解を強く勧めるでしょう。和解ができれは゛お互いに和解調書に当事者が署名捺印し、それは判決書と同様の効力を持つものとみなされます。しかしそれでも当事者が和解出来なかった場合は致し方なく訴訟に発展せざるを得ません。

 

調停の場に同席される裁判官や調停員のアドバイスに当事者がよく耳を傾けてお互いにできる限りの妥協線を見つける努力が要求されるものと思います。訴訟は和解に比べればお互いが傷つく度合いが大きいでしょうし、精神的にも後遺症を引きずらなければならないでしょうから私の意見としても双方ができる限り譲歩しあって、後遺症を残さない和解案を見つけ出されるように期待せざるを得ません。

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