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[6] 立ち退きについて ikeike 2001/03/12 14:21:21

 契約更新の時期なのですが、大家がこれを機会に退出してほしいといっています。つまり、次期の契約を結ばないというのです。理由は自分の娘を住まわせるといっています。この場合、立ち退く必要はあるのでしょうか。

 

大田宅建事務所よりの回答

当ホームページの不動産貸借Q&Aに次のように書かれていますので参照して下さい

契約違反もしくは火事、地震、台風などで部屋が壊れでもしない限り、今日にでも部屋を出なければならないことなどありえません。ところが、家主が都合のいい理由をつけて「今月中に出ていってくれ」などと要求することはありえます。そうなると、借り手であるあなたは当然困るはず。次に住む部屋は簡単には見つからないだろうし、引っ越すにはお金もかかります。家族で住んでいる人ならなおのこと.「はいそうですか」と明渡すわけにはいきません。

 もし、納得のいかない明け渡しを言渡されたら、慌てずに家主との話し合いを持ちましょう。肝心なのは、理由を明確にすることです。明渡し要求の理由が法的に認められなければ、あなたは出ていく必要はないのです。契約は自動更新されます。その際適用される法律は「借家法」といい、家主の側に特別な事情がなければ、明渡しは認められないことになっています。

 借家法に示される「正当の事由」とは、「建物の破損がひどく、改修(建替え)が必要なとき」や「そこで商売をしなければ家主の生計がたたない」「その土地を売る以外に家主の生計をたてる方法がない」などを指します。もし、立退きを要求され、その理由が法的に認められたとしたら、基本的に立退き料を家主に請求できます。

 立退き料の額はケースバイケースです。例えば、「老朽化による建替え」で部屋を明渡すとしましょう。この場合、まづ引越しにかかる費用を請求できます。このほか転居先の家賃が現在の家賃より高くなる場合は、現在の家賃と新居の家賃の差額の2、3年分を補償してもらうのが相場と考えてください。ただし、今の部屋に比べ格段ハイクラスの部屋に住めば、当然家賃の格差は大きくなるわけで、2、3年分の請求を承諾してもらうのは困難です。いずれにせよ、建替え後に再入居できるのか、新築後の家賃はいくらかなど含め、家主とじっくり話し合うことが大切です。又、同じアパート・マンションの住人との意見交換はぜひともして下さい。立退き料は妥当か、人によって提示金額に差がつけられていないかなど、同じ立場の者同士で話をすれば不当な立ち退き条件を受け入れる恐れも少なくなり、あなた自身心強くなるはずです。家主との交渉も、1人で行うよりも住人全員で意見を取りまとめて行う方が効果的なこともあります。

さらに

 家主側の「正当事由の有無」の内容と程度だと思います。それと急な立退き要求に対しては、家主側からの契約更新の拒絶は借家法第3条賃貸人からの解約申入期間)により6ケ月前に解約の申入れをすることになっていますから仮に家主側の明渡し要求の正当事由が認められたとしてもすぐには立ち退く必要はありません。

 問題は正当事由の有無の判断ですが、借家法第1条の2に「更新拒絶または解約の制限」とあり、正当事由のことが抽象的に書かれていますが、これだけでは現実に発生している事象の解決には何らなり得ないし、条文を読んだ人もなんとなく納得したという感じしかもち得ないものと思われます。

 では正当事由の有無の具体例について下記に述べます。参考にされると役に立つと思います。

1.家族の状態

  貸主が自己使用を必要とする具体的な事項のひとつとして、その家族の数,年齢、健康状態などが考慮されます。これと対比して,借家人の家族の状態が比較され,どちらがより多くその建物を必要とするかが問題になります。

2.資力

  家主に資力があって,賃貸している建物を自己使用しなくても、新しく他に建築するとか、他人所有の建物を買い受けることが出来る場合には、自己使用の必要性は少なくなります。一方、借家人に資力があるときは、移転先を定めて現在の借家を明渡すことも可能であることから借家人の正当事由が認められる範囲は小さくなります。借家人に資力がないと解かっていてこれを追い出してしまった場合には、借家人が住居もないまま路頭に迷うことになり,家主の正当事由は認められません。

3.移転先の有無

  借家人が借家を明渡した場合に、移転先を確保することができるかどうかが考慮され、移転先がないのに追いたてるのは社会通念として許されませんから、家主の正当事由は認められません。

4.職業

  借家人の職業が考慮され、借家人がその借家を借りうけたのは、職業と関係があり、つまり仕事に適した建物であるとか,職場に通うのに便利であるとかの事情が考慮されます。もし家主の正当事由を認めて、借家人に明渡しの義務を負わせてしまったならば、借家人は自分の仕事を継続できなくなるかもしれませんから、この場合も家主の正当事由は認められにくいでしょう。

以上、概略ですがあなたからのメールでは上記のことの判断が正確にできないので結論を下すことはできませんが、上の具体例から家主があなた方に明け渡しを要求している理由が「立退きの正当事由」にあまり当てはまらないのであれば、あなた方の「家を借りつづけるという正当事由」の方が強いということになり、ホームページにも書いていましたとおり通常の立退き料として、引越代、敷金や礼金、2ないし3年分の現在の家賃との差額分、また家主があなた方の転居先捜しを一切やらす゛,ほとんどあなた方で転居先捜しをしたのであれは゛それらの経費まで要求していいと思います。これらが全部認められるためには家主の正当事由とあなた方の正当事由の大きさが上記に述べた幾つかの具体例に当てはめながら天秤にかけられて判断されることになります。