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●数次相続    

登記簿上の登記名義人が死亡し,既に開始した相続による所有権移転の登記未了の間に,その相続人等の死亡により第2の相続が開始し,さらに第2の相続における相続人の死亡により第3の相続が開始したような場合をさす

             

中間省略による相続登記が認められる場合  

中間及び現在の相続人の各相続による所有権の取得が同一の原因である場合に限られる.中間又は現在の相続人の所有権

先例   

取得の相続原因が異なる場合中間省略登記認められない.

数次に家督相続が開始した場合において,各相続登記が未了であるときは、申請書に登記原因及びその日付として各相続に関するものを連記し,その各相続を証する書面を添付するときは最終の相続人名義に一件の申請書で相続登記を申請し得る.家督相続に限らず中間の相続が単独相続であれば、直接一件の申請で最終の相続人名義に出来る.          明32.3.7民刑局長回答

 

中間省略による相続登記が認められない場合   

甲死亡により乙,丙が共同相続人となり、さらに丁が乙の、威が丙の相続人となったときの相続登記は,まづ乙・丙名義に相続登記を申請し,次いでそれぞれ丁・威のための相続登記を申請すべきである. 

先例   昭30.12.16民事甲2670号通達                    

甲の死亡により乙・丙が相続し、その相続登記未了の間に,更に丙が死亡した場合、相続人乙と丙の相続人丁・威とで遺産分割の協議をして,乙・丁名義の相続登記を申請することは出来ない.この場合,まづ,丙名義の相続登記を申請した上で、次いで丁名義に相続による丙の持分移転の登記を申請するのが相当である。     

36.3.23民事甲691号回答

 では、上記のことを踏まえて下記のようなケースではどうなるかを考えてみたい。

(例)甲が平成元年5月1日に死亡し,乙が単独で相続した。その後,平成11年9月15日に乙が死亡し,丙・丁が共同相続した。甲が所有していたB不動産の登記を丙・丁に移すにはどうしたらよいか。

上記のケースのように数次にわたって相続があった場合は,本来なら甲から乙、乙から丙・丁と2回の相続登記を申請しなければならないのであるが,その中間の相続登記(甲から乙)を省略して現在の相続人名義で直接相続登記(甲から丙・丁)をすることができる。この場合,相続証明書としては,甲から乙の相続を証する書面および乙から丙・丁の相続を証する書面いずれも添付する。

しかしながら数次相続の場合において,中間を省略できるのは,先例記載のように中間の相続が単独相続の場合のみである。右図のように中間の相続が共同相続になっている場合は,中間の相続人及び数次の相続の原因を登記簿に記載することは非常に困難であり、また、公示上も好ましくないので,中間を省略することは認められない。この場合,所有権移転登記,乙持分全部移転の登記及び丙持分全部移転の登記の3件の登記をしなければならないのである。

なお、中間の法定相続人が数人いても,中間の共同相続人間で遺産分割協議がされ,また,相続放棄をした者がおり,若しくは特別受益者等があったため,結果的に中間が単独相続になったときは,直接最終の権利者への相続登記が可能となる。