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表見代理とは?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます

 代理人と称するものに代理権限がない場合に,その代理人と称する者となした売買契約は本人になんの法律上の効果も及ばないことは当然です。これを無権代理(民法113条)といいます。

 しかし,無権代理の中にも本人の手落ちや本人と無権代理人との特殊な関係によって,あたかもその無権代理人に代理権があるかのような外形を生じ、かつそう信じることについて過失がないというような場合には無権代理人と取引をした相手方の保護を図って,代理権があった場合と同じような法律上の効果を発生させる場合のことを表見代理(民法109条・民法110条・民法112条)といいます。

 ただ、表見代理の適用を受けるには判例上も相手方たる買主側にも相当の注意を払った上で,代理権限を信じたような場合であることが必要とされ,代理人が本人名義の委任状を所持していたことから代理権限があると信じたというだけでは表見代理の適用を受けられるかは疑問です。

 ですから,特に金融機関や司法書士,また私のような不動産業者などが金融取引や不動産取引をする場合には,一般の者の取引よりは高度の確認や注意義務が要求されることが多く、実印や印鑑証明書,登記済権利証の所持ということだけで安易に代理権を信ぜず,直接不動産の所有者本人に連絡をとるなどの確認手段をとらないと表見代理の適用も受けられなくなることが予想されます。