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差押中の不動産の売買は?条文の上をクリックすると根拠条文が見れます

 不動産の差押があると,差押不動産の所有者はその処分を制限されます。民事執行法上の強制競売ないし担保権の実行としての競売は、いずれも目的不動産の換価によって債権の満足を得ようとする制度ですから、その換価価値に影響を及ぼすような処分を禁止しなければなりません。

 不動産の競売開始決定に伴う差押があっても,所有者は通常の用法に従って使用収益を継続することは出来ます(民事執行法46条2項・ 民事執行法188条)が,所有権の譲渡,担保権及び用益権の設定は制限されることになります。これらの処分は目的不動産の換価価値の低下を招くからです。差押によって処分が禁止されている不動産の売買が行われた場合,それは絶対的に無効ではなく,債権者との間で相対的に無効とされるに過ぎないとされています。

 したがって差押の登記があっても,売買や担保権などの設定はすることが出来ますが,これらの処分行為は債権者に対して効力を有しませんから、競売の手続きがされることにより買受け人となった者からの引渡命令も拒むことが出来ません。もしどうしても差押物件を競売手続きによらずして取得したいのであれば、事前に差押債権者と交渉して競売申立を取り下げてもらった上で買受けることにすべきと思われます。